Tuesday, June 7, 2011

Poor Economics

久しぶりに面白いと思う本に出会いました。タイトルはPoor Economics、開発経済学では毎度おなじみのMIT(マサチューセッツ工科大学)の名物教授2人が書いた本です。読んで字のごとく開発経済に関する本なのだけど、教科書みたいに堅苦しくないし、難しい専門用語もでてこないし、でもそのわりには超緻密なデータ分析に基づいていてとっても面白い本です。邦訳はまだ出ていないと思うけど、英語は難しくないので、ちょっとでも開発に興味のある人にはとってもおすすめです。まだハードカバーだけど。

どういう内容かというと、私もまだ最後まで読んでいないからうまくまとまらないんだけれど(爆)、要は途上国の貧困層がどんなことを考えて、計算して、1日わずか100円以下レベルのお金をちょびっとずつ使っているのか、ストーリー仕立てで教えてくれます。1日100円しか使わないような人は、今までは経済学の主流からは除外されてきたわけなのだけど、でもよぉく考えたら1日100円しか使えない人は、ものすごい悩みまくって買い物するわけよね。子供のころ100円もらって駄菓子屋で何使うかものすごい悩んだ経験あるでしょ、お金稼げる今はそんなこと考えずに好きなもの買うわけだけど。

じゃあ途上国の貧困層が毎日どんなことに悩んで、どうやって1日100円を費やす選択をしているのか。例えば、1日の必須カロリーすら満足に食べられていない貧しい人たちが、何かのきっかけで収入がちょびっと増えたらどうするか。そのお金で一番効率よく栄養価がとれる食べもの(フィリピンではこれはバナナと卵らしい)を買うだろうと普通思うでしょ。でもそういう実験をしてみたら、実はみんな栄養価はそんなに高くないけど高価で美味しいもの(砂糖とか肉とか)を買っていることが発覚!

これは要は、栄養価のある食べ物にお金を使っても、自分が元気満々になって収入が増えるなんて効果は大してないのだから、毎日半ば意図的におなかすかせている、ということらしい。今日安いバナナ食べて体力増えて明日収入が増えるんだったら、大しておなか一杯にもならない飴なんかなめてるより絶対バナナ食べるでしょう。でも実際には、今日バナナ食べても明日の収入はちょっとしか増えないんだから、おなか一杯にならなくても今おいしい飴をなめる選択をする人が多いんだとか。

こんなおもしろいコバナシがたくさん詰まっています(いやもちろん、ド真面目な経済学の本でもあるのだけども)。ぜひおすすめです。

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